リスク概念についての発生論から啓蒙主義を経て確率・統計によりリスク・マネージメントに対する手法発見などの歴史を詳述しています。対数の法則とか正規分布などはもとより確率論って意外と新しい概念なんですね。原題である「Against the Gods」の通り、やはり神による運命論から呪縛はいかに強大だったかが窺い知れます。
残念なのは上下の区切りが中途半端な点。文庫本化に際して上下巻を頁数的に均一にしようとしたのでしょうが、どうせ上巻の方が売上大きいのだろうし、ちょっとは値段高くしてもいいから、「1700-1900年 限りなき計測」をきっちり上巻に収めて欲しかったです。
最後は〈The End〉の啓示的な
"And, in the end, the love you take is equal to the love you make"
なんてフレーズが何となく頭に浮かびました。
伏線の無駄のなさがいちいち気持ち良いし、何より内容の感じがいい。
この感じのよさからは著者の品性のよさを感じる。
激しくオススメ!