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有頂天家族: 幻冬舎 : 森見 登美彦;
有頂天家族
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    狸兄弟の話

    不思議な世界でした?
    でも、楽しかったです。
    現実にはありえない話ですが、森見ワールド炸裂という感じでした。
    私は特に次男狸が好きですねぇ、肝心な時力を発揮するあたりが!

    森見ワールドは、好きな人は好きかも知れないけど、苦手な人は苦手でしょうね、多分。
    個性的な文章が好きな方にはオススメです。

    全部で3部作になるらしいので、第2部が待ち遠しい今日この頃。

    大傑作になるはずだった

     ぼんぼりの燈る京都の街、蠢く狸や天狗たち。ファンタジーの世界を見事に創り上げており、うれしくなってしまう。
     しかし、ストーリーは何とかならなかったのだろうか。キャラクターが先に出来てしまい、それをもとに物語を始めてしまったということであろうか。もう少し知恵を絞っていただきたかった。登場人物とストーリーの関係に、アンバランスなものを感じる。残念だ。内容がほんのちょっと良くなるだけで大傑作になるはずだったのに。
     「有頂天ホテル」という映画があった。最高のタレントを集め、タレントごとには良く出来ていたが、全体としては低調子の出来となってしまった。ドタバタになりきれてなかった。たまたま同様のタイトルなので思い起こしたことなのだが。
    この話、すごいと思います

    狸でしょ、たかが。狸って、昔話に出てきたり、「平成ぽんぽこ…」に出てくるヤツでしょ。子供じゃないんだから。
    ああっ、でもこの作家にかかると、京都の街を背景に、なんともファンタジックで、愛らしいキャラたちに、すっかり魅了されてしまいます。
    なんというツンデレ小説『有頂天家族』

    既に数多くの素晴らしいレビュウが有るにも関わらず、書いてしまいます。
    それ程までに、語る口や書く手が止められない素晴らしい作品でした。
    デビュウ作『太陽の塔』から通じ広く認識されている森見登美彦の特徴(魅力)は2つあると思います。

    1.如何にも堅い文章で扱われる珍妙な題材(登場人物)。
    2.上記の馴染み難い文章を解り易くするための短編的構造。

    先ずは1つ目。
    デビュウ作『太陽の塔』の序文はこうです。
    --
    何かしらの点で彼らは根本的に間違っている。なぜならわたしが間違っているはずがないからだ。
    --

    しかし、語っているのはただ振られた事実を認められない馬鹿な男です。
    そして、本作『『有頂天家族』』の序文は以下。
    --
    桓武天皇の御世、万葉の地を後にして、大勢の人間たちが京都へ乗りこんできた。――(中略)――桓武天皇が王城の地をさだめてより千二百年。今日、京都の街には百五十万の人間たちが暮らすという。だが待て、しばし。
    --

    歴史を語り、現代(いま)へ導く主人公(一人称小説で語り手)の名は矢三郎。
    狸である。
    しかも、前述の口上は本編に全く関係ありません。
    上記だけで森見登美彦の面白さが何となく伝わるでしょうか。
    それでいて──
    ・父の死による兄弟の擦れ違い(当然だが狸)。
    ・ある理由から姿を見せられない婚約者(当然だが狸)。
    ・四字熟語を連呼する憎い敵(当然だが狸)。
    ・天狗を翻弄し勝手気儘に生きながら月を見ると人知れず泣き出す女(これは人間)。
    ・神通力を失いながら人間に惚れて無様をさらす天狗(当然だが天狗)。
    ──と、狸と天狗と人、種族と個人、喜びと悲しみ溢れる登場人物が文字通り、飛び廻り走り廻ります。
    上記の説明だと逆に取っ付き難いと感じる人もいるだろうと思います。
    その疑念を一蹴するために、私個人が気に入った記述を引用します。

    ・狸のくせに犬猿の仲であった。
    ・相手が自分の思い通りに動くことと動かないことの間隙にこそ、惚れるということの味がある
    ・「まだ分からんか!」偉大なる恩師は叫んだ。「喜ぶ顔が見たいからだ!」
    ・「喉から毛が出るほど欲しいです」
    ・獅子は我が子を千尋の谷へ蹴り落とし、狸は我が子を温かい枯葉の寝床から冬の雨の中へけり出す。
    ・「詭弁上等! 御意見無用!」

    ──等等。
    ひと癖もふた癖もある、仲が悪いのに長年付き合っている連中、誰も彼も男も女も狸も天狗も人間も見事なツンデレです。

    2つ目
    本作は実際に短編で、以下の7章からなっております。

    ▼目次
    1.納涼床の女神
    2.母と雷神様
    3.大文字納涼船大合戦
    4.金曜倶楽部
    5.父の発つ日
    6.夷川早雲の暗躍
    7.有頂天家族
    ▲全7章

    判るようで解らない副題。
    それぞれが1話完結(6と7は完全に続き)で矢三郎の語り(一人称小説)から変わらないながらも、描かれる題材(登場人物)が入れ替わり、それでいて本筋は1本通っています。
    それなりに伏線(小ネタ)もあり、連載短編と感じさせない構成力も見せ付けられます。
    大衆娯楽として徹底した馬鹿らしさを見せる一方、出会いと別れと云う文学の礎を見事に踏みならしている良作。

    思わずニヤリ、不意にホロリ。狸と天狗と人の物語。
    正直、夜は短し歩けよ乙女で出し切ったか、と思っておりましたが、いやはや失礼しました。
    これからも作家読みを継続しようと思う数少ない作家の一人です
    最後に一言──

    海星かわいいよ海星。
    愉悦のうそ話

    森見登美彦は現代の現代らしい作家です。
    少し前の世代だったならば「あたら若い才能を浪費して,若いうちは本腰を入れた小説を書かんか」と説教されそうな小説を,飄々と才気煥発で発表し続けています。

    本書は狸と天狗と人と京都の物語です。
    偉大なる狸だった父親は今やもう亡く,暢気で芯の太いすっとぼけた母さんと4人のいろいろ困ったところのある息子達が京都の洛内の森で暮らしています。
    ミステリあり,青春あり,陰謀あり,家族ドラマありのサービス満点の娯楽小説で,
    そしてなによりラストへ駆け抜ける疾走感が魅力です。

    心を遊ばせたい時にぴったりな1冊。


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    ドキドキとハッと、うるうると

    通勤で読んでいたのですが、思わず声をあげるくらい
    ドキドキしたシーンと、そして軽い嗚咽をしてしまった
    シーンがありました。

    敵方にはとうとう童貫が腰を上げ始めます。
    前哨戦とまではいかない遭遇戦でその力の一端を
    見せつけますが、この人があやつる禁軍の強さが
    憎らしいほどです。

    そして、男性諸氏なら背中が寒くなるエピソードも
    あります。浮気は気をつけない、と改めて思ったり
    します。

    後半に向かうにつれて、梁山泊と青蓮寺の戦いにも
    大きな展開が待っています。

    ここでは、ハッとすることと、うるうるすることが
    順繰りにやってきました。

    あっという間の16巻でしたね。
    読み応えある一巻

     いよいよ、残りあと数巻となった北方水滸伝、文庫版の最新刊です。
     前巻までは戦いに継ぐ戦いで、ひたすら宋軍と梁山泊のどちらにも死傷者が続出、主要メンバーでも両手に余るほどの死者が出続けて来たこの物語でしたが、この巻はちょっと違いました。勿論、そうはいっても、内乱に近い形までいった両軍ですので、相変わらず人が死んではいきます。しかし、その死が何万という人々を巻き込んでの激しい軍隊同士の戦いの中でのものではなく、暗殺や謀略、諜報活動の中でのものとなりました。
     なので、力と力のぶつかり合い、激しい戦いを期待したむきには肩透かしだったのかも知れませんが、個人的には国と国との戦いをまっとうに描いていこうとすればするほど必要な巻だったのではないかと逆に評価の一巻でした。ローマ兵は兵站で勝つ、とも言われるように、戦争は単に強い兵器や強い将軍、強い兵隊がいたらそれで勝てるかといえば勿論そんなはずはないのは皆さんもご承知の通り。兵站ももちろん、人材育成、外交交渉、暗殺合戦そういうものがなくて勝てるほどに甘くはありません。そういう意味では、この巻では、闇の中で戦いが起こり、決していきますがそれがまた読み応えがありました。特に、そういう表舞台の裏のことの中で描かれる、人間であるということの弱さ強さ醜さそういう諸々の感情がきっちりと描かれているあたりが単なる軍記もの以上にこの作品をしていて、とてもよかったです。
     二人の亭主をなくした孫二娘の苦悩や、梁山泊のメンバーで初めて裏切るように罠をかけられる孫立、いよいよ青蓮寺を正面からたたき潰す作戦に出た公孫勝、そしてそのために戦いにでる燕青。彼らの活躍やいかに。また、宋の禁軍の元帥にしていよいよ梁山泊との決戦に乗り出す気になった童貫と、史進の初めての激突の結果はいかに。読みどころの多い16巻でした。

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  • 米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F): 集英社 : 米原 万里;
    米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)
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    タイトル

    やはりタイトルの「愛の法則」はちょっと内容を正しく表わしていないかな。

    生物学的に見た男女出生率の違いの話のことなんでしょうけど「愛の」ってのは
    著者の意図するところと違うような気がします。

    最後のところで、「これは私見なので、各自で確認されたし」と書いているのは
    著者の最低限の良心かな。

    後半の同時通訳の苦労するところの業界裏話(?)など大変面白いだけにタイトルと内容の乖離はちょっと残念。
    滲み出る米原万理の魅力

    米原万里に卵巣がんが見つかったのが2003年秋、2005年2月頃転移発覚後闘病生活に入り、2006年5月没。
    この本は米原万里の講演会1998年から2005年をまとめたもの。
    最後の2005年6月28日の日付を見ると、聴衆の前でギリギリまで頑張っていた姿が伺える。
    米原万里の執筆した本と異なり、話すという行為の中では通訳の本業発揮とも言える無駄の無い毒舌と笑いが詰まった一冊になっている。
    米原万里が通訳になったであろう生い立ちと、通訳の仕事を通して感じた日本の長所欠点に加え、外国語を取得する方法など、講演会の聴衆に向けて滲み出る米原万里の愛に触れる一冊。
    ハタと膝をうちました・・・

    彼女の本を読むのは「オリガ・モリソブナの反語法」「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」「ロシアは今日も荒れ模様」に続いて4冊目です。また、某週刊誌での書評欄をいつも楽しみにしていました。彼女の訃報は非常にショックでしたが、彼女の講演をまとめたこの本はとても前向きな気持ちにさせてくれます。
    本の内容の共通のテーマ、人はコミュニケーションを求めてやまない生き物であるに対してはハタと膝をうちました。国際化とグローバリゼーション、理解と誤解の間、通訳と翻訳の違い、の章らは、通訳という職業に長くいただけあってとても説得力がありました。講演を本にしたということで、読んでわかりやすかったです。一気に読めました。まさに彼女が通訳の箇所で言っていたように、不必要な言葉を除いた要点をはずさない文面、それでいて彼女独特のユーモアも随所に現われています。彼女の好きな下ネタにもクスッとさせられましたしねっ。
    彼女がプラハの学校で経験した読書や作文のやり方は、もう大人の私にも参考になりました。もしわたしが学校の先生なら取り入れてみたいですね。それから、日本の作家も含めてもっと読書しようと・・・
    目からウロコが・・・

    おもしろい。
    米原さんの本は、『オリガモリソブナの反語法』、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』についで3冊目。
    この本も、彼女らしく、パワフルでユニークで、とても痛快な本でした。

    特に第1章「愛の法則」と第2章の「国際化とグローバリゼーションのあいだ」が秀逸。
    「くすくす」と笑いつつ、「なるほど」と感心し、いい読書体験でした。
    コミュニケーションの力学

    講演内容を起こしたもので、口語体であるため読み進めるのには楽な感じでいいとは思います。
    この本を一言でまとめると、「コミュニケーション力学」について書かれたものだと感じます。
    確かに言葉は記号ですし、通訳は記号を別な記号に変換する仕事でしょう。
    言葉について、この本に書かれてあるように日本とロシアの教育を比較してしますと、やはり日本の教育は暗記中心である点が面白くないですね。
    人間として、言葉を使い、その言葉を通してコミュニケーションを確立し、何を感じ、どんな行動を起こして、そして生きていくのか。
    コミュニケーション力学を使って、いい人生を作っていきたいと思います。

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    米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)
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    著者の意図するところと違うような気がします。

    最後のところで、「これは私見なので、各自で確認されたし」と書いているのは
    著者の最低限の良心かな。

    後半の同時通訳の苦労するところの業界裏話(?)など大変面白いだけにタイトルと内容の乖離はちょっと残念。
    滲み出る米原万理の魅力

    米原万里に卵巣がんが見つかったのが2003年秋、2005年2月頃転移発覚後闘病生活に入り、2006年5月没。
    この本は米原万里の講演会1998年から2005年をまとめたもの。
    最後の2005年6月28日の日付を見ると、聴衆の前でギリギリまで頑張っていた姿が伺える。
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    おもしろい。
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    つまらん。

    不可思議な事件を,ガリレオ先生が科学的に解決してみせるという短編集。
    一つ一つの科学的な謎解きに,
    ふーん,なるほどねぇ,そういう現象があるのねぇ・・・と思うものの,
    へえええ!と膝を打つほど面白いネタでもない。
    さらに,推理小説としてみれば,なんでそんなことでそんな大掛かりな事件起こすのさ,といった動機の深みのなさや,ストーリー展開の単純さが目立ち,
    はっきりいって面白くなかった。
    東野圭吾であれば,やはり,加賀刑事シリーズなど本格推理小説の方が断然よい。

    あっさりし過ぎ…残念

    はっきり言ってどうしてそんなに人気なのか…
    確かにさくさく読めて楽チンですが、白夜行や幻夜、その他東野さんならではの重厚な他の作品を読んだ後では、あまりにあっさり解決されすぎてがっかり。

    読みやす過ぎるからこその人気だとしたら納得できないです。

    面白い!

    雑誌に掲載されていたのを見て、買ってみようと思ったこの本。
    早速、読んでみると・・・今までにない推理小説で。
    物理の知識を使って、問題をといていくこの本。
    私は、ほとんど1日で読み終わってしまいました。

    物理が好きな人も、嫌いな人も、今までと違った推理小説が読みたいという人にも
    それ以外の人にもすごく楽しめると思います。

    第2・3作目のガリレオシリーズも買ってみようかなと今考えてるところです。

    実に面白い

    新しいドラマ“ガリレオ”のオリジナルな本。
    僕は日本人じゃなくて、日本語もペラペラできませんのに、この本のことが大好きになりましたよ。でも、もしあなたは科学って大好きじゃなければ、少し分かりにくくなりますね。
    そうですけど、本当にすごかった本ですよね。カナダから日本の本屋まで行ったの僕、実にこの本は最高のプレゼントだったと思ってます。話毎は短かったから、特に僕のほう、読みやすくにしました。

    唯一つのことって残念と感じてます…僕はこのシリーズのことをわからなかったから、続きの『予知夢』などを買いませんでしたよ!!
    もしかして日本へ再び行かなければいけませんの?!高いから… :(
    今までにない推理小説です!

    工学系としては非常に面白いプロットの作品集でした。天才物理学者が難事件の謎を解き明かす経過が非常に気持ちよいです。
    短編集なので、読みやすいです。実際、一気に読み終えてしまいました。
    これを読んでTVドラマを見てみたくなりました。

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